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トリノ・レッジョ劇場 Teatro Regio Torino

劇場データ

住所:Piazza Castello 215, Torino 10124

開場:1740年

初演:"アルサーチェ"(フェーオ作曲)

座席数:1754席

URL:http://www.teatroregio.torino.it/

トリノの街並み

トリノ市はイタリア北西部に位置し、フランスとスイスとの国境にあるピエモンテ州の州都です。北から西にかけてはアルプス山脈がそびえ、晴れた日には絶景が楽しめます。人口は100万人以上の大都市ですが、200年以上前からのしっかりとした都市計画のおかげで、市内は道幅の広い主要道路が碁盤目のように広がります。近代的な中にも市内の中心にバロック様式やルネッサンス様式の宮殿が建ち並び、広々とした広場、数多くの緑地など、整然として優雅な街です。自動車産業の町としても有名でフィアット、ランチャなどイタリアを代表するメーカー、フェラーリなどのデザイン会社ピニン・ファリナ社など、イタリア機械工業の中心地です。トリノっ子の誇り、サッカーの強豪チームのユヴェントスもトリノのチームです。また、ピエモンテ州は、白ワインのアスティ、赤ワインのバローロ、バルバレスコなど、おいしいワインの産地としてもたいへん有名です。

レッジョ劇場の歴史

レッジョ劇場は、250年以上の歴史を誇りますが、1936年に焼失してしまいました。現在のホールは1973年にマリア・カラスとジュゼッペ・ディ・ステーファノの競演で話題をさらったヴェルディの「シチリア島の夕べの祈り」でオープンされたものです。プッチーニの「マノン・レスコー」や「ボエーム」などの初演をした栄光の劇場は、ワーグナー諸作品のイタリア初演でも知られています。1906年には、リヒャルト・シュトラウスの「サロメ」のイタリア初演が行なわれ、作曲者自身が指揮をしました。近くにスカラ座があるということで、何度も存在意義を疑われるような時期もありましたが、1860年代にはカルロ・ペドロッティ、1900年前後には巨匠アルトゥーロ・トスカニーニ、と優秀な指揮者たちがレベルの高い上演を続けることで、危機を救ってきました。現在でもスカラ座と並んで北イタリアを代表するレベルの高い劇場となっています。 

劇場

横に広い馬蹄形の劇場で、外見はクラシック、中は赤を基調としたたいへんモダンで豪華絢爛な造りです。巨大なシャンデリアが壁や天井も一体となった流線型のホールによく映えています。たっぷりとプラテア(平土間)が横に広がり、上のパルコ(ボックス席)は1層だけで、実にゆったりと作られており、どこのパルコからも舞台が良く見えます。劇場内のホワイエやオープンスペースも広々と造られており、赤を基調とした豪華なソファーが数多く点在し、らせん状の階段等も美しく、宮殿の社交場のような贅沢さです。オープンスペースにショップもあり、過去の上演パンフレットのバックナンバーも数多く揃っているので、休憩時間が優雅に過ごせます。 観客に若者が多いのも特徴で、スカラ座のように堅苦しい雰囲気はほとんどなく、若いアベックやハイティーンの子供を連れた親子などもよく見かけます。また、観客の拍手はおおむね歌手達に優しく、服装がとってもおしゃれなのも特徴です。 

オペラ・レポート

日時:2000年4月27日 20:30~

演目:フェドーラ

作曲:ウンベルト・ジョルダーノ

指揮:ステファーノ・ランザーニ

演出:ランベルト・プジェッリ

キャスト:
皇女フェドーラ・ロマゾフ・・・ミレッラ・フレーニ
伯爵夫人オルガ・スカレフ・・・アデリーナ・スカラベッリ
伯爵ロリス・イパノフ・・・キース・オルセン
外交官デ・シリュウ・・・ファビオ・プレヴィアーティ 


トリノ・レッジョ劇場では初演ながら、演出自体は1993年の4~5月にミラノのスカラ座で上演されたものの再演でした。 その時の指揮は、今は亡き、最後の巨匠と言われたジャンアンドレア・ガヴァッツェーニと、そのセカンドキャストとして、この夜、指揮をしたステファーノ・ランザーニのダブルキャストでした。ガヴァッツェーニとバーンスタインに師事をしたランザーニも、その後キャリアを重ね、今では、かなりのレベルまで達して、そろそろ大物の仲間入りという感じです。1998年のボローニャ歌劇場の来日公演でも、同じフェドーラを振って大成功を収めました。その時のフェドーラも、今回と同じくフレーニ、オルガもスカラベッリ、ロリスがドミンゴ、カレーラス、ラーリンのトリプルキャストでしたが、今回はドミンゴ、ラーリン、オルセン、とほぼ同じキャストでした。まず特筆すべきはフレーニの出来の良さです。芸術性の高さ、65歳という年齢にもかかわらず若々しい声の艶とそのテクニック、特に近年得意のレパートリーとなっているフェドーラ役は、まさに彼女のための役といっても決して過言ではありません。20世紀を代表するプリマ・ドンナであることは衆目の一致するところですが、フレーニの前にフレーニなし、フレーニの後にフレーニなし、といったところでしょうか。数年前にローマのオペラ座で同役を聞いた時よりもよいくらいでした。来年引退するという噂もあるそうですが、世界のオペラ界にとっての大いなる損失となるでしょう。相手役のキース・オルセンはデンバー生まれのアメリカ人で、実力のあるリリコ・スピントですが、あまり調子も良くなかった様で、フレーニの相手役というよりも、脇役という感じでした。特にこのオペラのハイライト、2幕のとても短いアリア「愛は君に愛さないことを禁じる」も、すーっと通り過ぎてしまい、拍手もできず、不完全燃焼に終わってしまいました。しかし、オルガ役のソプラノ、スカラベッリや、シリュー役のバリトン、プレヴィアーティも確かな演技と美声で、とてもレベルの高い公演でした。

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