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カリアリ・オペラ劇場 テアトロ・コムナーレ Teatro Lirico di Cagliari Teatro

劇場データ

住所:Via Sant'Alenixedda, Cagliari 09128

開場:1993年

音楽監督:ジェラール・コルステン

座席数:1650席

URL:http://www.teatroliricodicagliari.it/

カリアリの街並み

地中海の中でシチリア島に次いで、2番目に大きな島、サルデーニャ島の最南端の港町カリアリは、サルデーニャ州の州都です。イタリア半島で一番近い町がナポリで、それよりもアフリカのチュニジアのほうが近く、イタリアの中でも独特の地形を形成しています。12世紀にこの町を支配したピサ軍によって建てられた丘の上の要塞跡には城壁や教会が今もそのまま残り、その特徴的な景観を決定づけています。一方、丘のふもとに広がる海岸に面するマリーナ地区に、近代的建築が建ち並び、海辺の地中海熱帯植物との対比で、ハワイのワイキキビーチのような趣も見られる不思議な街です。オペラ鑑賞の翌日、5月1日は1年に1度の大きな祭り、サルデーニャ島の守護聖人聖エフィシオ祭の日でした。この祭りは豪華な衣装や美しい行列で世界的にも有名な祭りです。カリアリ近郊の人達が、その地方の民族衣装に身を包んで、カリアリ市内のメイン会場となっている見本市会場を目指して騎馬行列などを楽しみます。丘の上の市内観光スポットは、人っ子ひとりいないゴーストタウンのような状況でした。

テアトロ・コムナーレの歴史と劇場

さて、オペラハウスですが1993年にオープンしたばかりのテアトロ・コムナーレで、日本の近代的な劇場と良く似た造りになっています。座席は赤を基調として、壁は金色、プラテア(平土間)の上に、2層のロッジア(椅子席)が広がっています。他の劇場と決定的に違うのは観客の服装です。女性の観客のほとんどが黒一色の服装で、若い女性も年配の女性もシンプルでシックに着こなし、とても美しく洗練された姿が目立ちました。過去に同劇場で演奏した一流演奏家たちの写真を大きく引き伸ばして、ホワイエで常設しています。マゼル、クライバー、ムーティ、ショルティ、メータ、ガーディナーら指揮者、ヌッチ、フレーニ、デッシーら歌手、その他にも演出家、バレリーナたちのおかげで休憩時間もまったく退屈しませんでした。幕間の休憩中、オーケストラのメンバーたちが、バールまで出てきて、観客と一緒に歓談したり携帯電話で話したりしている風景は、とてもアットホームで微笑ましく感じられました。 また、予定の開演時間を過ぎても一向にオペラが始まらず、客席のいたるところで紳士淑女たちが立ちながら優雅にお喋りをしていて、まるで社交場のようでしたが、ストーリーのとても暗いオペラとのコントラストが面白かったです。当然のことながら、各幕間での休憩時間も延びに延びて、21:00からの公演が終わったのは、すっかり翌日になってしまいました。

オペラ・レポート

日時:2000年4月30日 21:00~

演目:カルメル派修道女の対話<初日>

作曲:フランシス・プーランク

指揮:ユリアン・コヴァチェフ

演出:アルベルト・ファッシーニ

キャスト:
ド・ラ・フォルス侯爵・・・マウロ・ブーダ
ブランシュ・・・ダグマル・シェレンベルガー
騎士(ブランシュの兄)・・・チョン・イーグン
ド・クラワッシー夫人(修道院長)・・・サラ・ウォーカー
リドワーヌ夫人(新修道院長)・・・ルドミラ・スレプネヴァ
マザー・マリー・・・エルザ・マウルス
コンスタンス修道女・・・インヴァ・ムーラ


このオペラは、カトリックのカルメル派の修道女16人がギロチンの断頭台に消えたというフランス革命当時の実話に基づく話です。テキストが非常に宗教的で哲学的、また抽象的な比喩も多く、全篇に流れる修道女同士の対話はとても難解なものです。しかし、プーランクの音楽は3幕のフィナーレに向かって劇的に進行していきます。1999年は、1899年生まれのプーランクの生誕100周年を記念して、この"カルメル派修道女の対話"を始め"ティレジアスの乳房""人の声"らプーランクの諸作品が盛んに上演されていました。初演(イタリア語訳)の行なわれたミラノのスカラ座でも、2000年の5月に同オペラが上演されました。このプロダクションはローマ歌劇場との共同制作でしたが、"カルメル派修道女の対話"を得意としているファッシーニの演出で、とても劇的な舞台となりました。特にフィナーレのギロチンのシーンでは、ギロチンの刃が落ち、一人処刑されるごとに照明を一瞬落とすという、たいへん効果的な方法が使われていました。また、イタリア語の字幕も地元のオペラファンにとても喜ばれていました。歌手では何といっても主役の2人、ブランシュ役のドイツ人シェレンベルガーとコンスタンス役のイタリア人ムーラが素晴らしかった。2人ともキャリア十分の実力派ですが、母国語でない言葉(フランス語)で、これだけ長くて台詞の多いオペラにもかかわらず、深い感動を与えてくれました。出番は少ないですが、騎士役の韓国人チョン・イーグンもブリランテなとてもよいテノールで大きな拍手をもらっていました。 最近のイタリア・オペラ界では、スミ・ジョーを始め韓国人の進出が目覚しく、実力のある若手オペラ歌手を多く輩出しています。

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